目を閉じたら、別れてください。
座布団ごと移動してきた私を、嘆息しながら見つつも自分もお酒を飲みだした。
「酒くせえ」
「……だから、ごめんってば!」
「何に対して謝ってんだよ。自分が満足してえだけだろ」
何を言っても不機嫌な彼に、何を言っても無駄ではないのだろうか。
それほどのことをしたと、自覚しないといけない。
けど、この時間は苦痛だった。
「……面倒くさいって思ったの。私のお腹の傷を気遣う進歩さんが。優しすぎて、この先も一緒に居ると苦しいって」
「ああ。お前は自分が楽しければいいんだもんな。恋愛なんて面倒なもの、お見合いですっ飛ばして、相手のことを考えたり、思ったりしなくていい道を選んだもんな」
氷をグラスに入れながら、彼は不機嫌だ。
でも、反論はできない。全くその通りだった。
「……本当に反省してる。私があんたの継ぐ会社に居るのが嫌って言うなら、辞めるから」
「それでまた逃げるのか」