目を閉じたら、別れてください。

じゃあどうしたら許してくれるんだろう。
分からなくて彼の顔を見る。
お酒に口を付けようとしていた彼が、私の方をずっと見ていたのだと気づく。

「面倒なのがおもしれえんだよ。ばかじゃねぇの」
「な……」
「この俺を、立ち飲みの居酒屋や可愛いレストランに付き合わせたり、かと思えば勝負下着に値札つけたままで大雑把だったり、突然会えないかって突撃して来たり」
「ちょ、値札? なに? いつ?」
「気取ってる女や媚びる女は面倒だったが、お前みたいに着飾らないし簡単に別れようとする女も嫌いだな」

はあ、とため息を吐く。が、彼の意図が分からない。
それに値札っていつのことだ。

真っ暗な部屋で脱いでたから気づかなかった。
「次はなにをしてくるのか、わからないほうがいい。美人は三日で飽きるって言うが、お前はきっと毎日むかつく」

「だから――」

「俺は、お前がまだ好きだよ。桃花」
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