目を閉じたら、別れてください。
え?
今の流れって土下座しろ、とか慰謝料よこせとか言うんじゃないの?
ポカンとしていたら、今まで見たことのないような悪魔の微笑みを見た。
「毎日むかつく方が楽しいって言ってんだ。俺にしとけよ」
「んん?」
待って。ちょっと待って。
めちゃくちゃ怒ってるし、値札付いた下着って馬鹿にしてたのに、私のことを好き、なの?
「驚きすぎ。普通は喜ぶんだけど」
「えっと、本気ですか?」
私の質問に答える代わりにお酒を飲みだした。
なんなんだ。イエスかノーぐらい答えろ。
「車で来たのに、酒を飲むぐらい本気」
「意味が分からない」
「……帰したくないってこと」
進歩さんの手が伸びてくる。私の左手を掴むと時計をなぞった。
なぞった手がゆっくりとお腹に伸びる。
「傷跡、見せろよ」