目を閉じたら、別れてください。
「……」

私はマグロ。私はマグロ。マグロはしゃべらない、反応しない。

モノ言わぬ貝だ。

「ほんとむかつく。酒臭せし、お前今、諦めたろ。一発ヤらせて諦めようとしたろ」
「……ぐ、ぐー」
「寝たふりすんな。ふてぶてしい」

雰囲気が壊れた。てっきりこのまま流されて最後までシてしまうのかと思っていたのに。
そのピリリとした空気が解けている。

解けたが彼が私を押し倒しているままだ。

「あのう」
「キスは嫌じゃなかったな」
「……まあ」
「簡単に流されるな。お前の意志で抱かれろ」

ひいい。抱く前提で話してる。
別れたいって言ってる女を抱こうとしている。いや、すでに別れたはずの私を抱こうとしているのか。
思い込むが強い、やばい人なのかもしれない。

「一回したら、二度と会わないって約束してくれる?」
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