目を閉じたら、別れてください。
「笹山さん、むこうのチョコフォンデュタワー、一緒に行きましょう」
「ああ、いいよー」
タイミングよく、泰城ちゃんと笹山も席を外して、よっしーさんは煙草を吸っていいかと聞いてきたので頷く。
「あいつは、捻くれてるから素直に言えないんじゃねえかな」
「どっちかと言えば私の方がひねくれてますけど」
「まあ、見てな。ちょっとテーブルの上のモノどけて。で、ビール持ったまま、突っ伏して」
「何の意味があるんですか」
「いいからいいから」
言われた通り、お皿やオカズを端に寄せ、飲みかけのビールを持ったまま突っ伏す。
それをよっしーさんは写メに撮ると、もういいよって合図してきた。
『酔っぱらった都築さんをお持ち帰りなう』
無表情でそう打つと、わたしにわざわざ見せてきた。
トーク画面の相手は、進歩さんだ。
「これで必死になって現れたら、どうする?」
「えええ」
「俺は既婚者でしょ。心配になって駆けつけてくれたら、どうする?」
「うーん。嘘はなあ。散々ついちゃったから、うーん」
「ちがう。これは駆け引き」
よっしーさんはまだ吸い終わってないのに煙草を灰皿に押し付けた。
「相手がどう思ってるのか、どれぐらい思ってるのか。分からないなら、こうやって自分で測るんだ」