目を閉じたら、別れてください。
「先輩、チョコタワー、白かった! ホワイトチョコでしたよ!」
「えー、行くか迷う。チョコとビールって合わないじゃん」
「行きましょう、行きましょう。笹山さんと交代」
泰城ちゃんも再び私と一緒にチョコタワーの前まで来た。
流石、チェーン店でもない普通の居酒屋。
テーブルの上に、女子会で使う程度の小さなチョコフォンデュの機械が置かれているだけだ。ポテトチップスとマシュマロと、フルーツが少しだけだ。
「あの吉田さんって人、大学時代から飄々としてたのに女とっかえひっかえだったって。商社マンだって!」
「笹山情報?」
「そうですよ。既婚者なのに絶対遊んでますって。要注意です」
泰城ちゃんは、笹山ら情報を聞き出すために席を離れたんだ。本当にしっかりしている。
「で、神山さんももってもてだったって。爽やかで嫌味がなくて、格好いいじゃないですか。大学時代、恋人はいなかったかもしれないけど、いなくても不自由してなさそうだったって!」