目を閉じたら、別れてください。

「まあ一回別れてるし?」
「それにそっちの事務所も二年後には無くなるしね」
「……え?」

隣を歩いていた叔父さんが足を止める。私も止まって叔父さんを見上げた。

「新しい部署ができるから、大きくするんだ。あそこはテナントだろ。二階建ての大きな事務所にするんじゃないかな」
「初耳!」
「まあね。で、移動があった場合君には本社は居心地悪いだろうけど、独占欲の高い彼のことだから――」

信じられない。これはなんてことだ。
田舎だから心地よかったのに。面倒なお客様も偶にしか来ないし、比較的楽な仕事場だと思っていたのにこの仕打ち。
 本社や新しい環境は嫌だなあ。さっきみたいな女の腐った部分を見てしまったら疲れる。

「今日はうちに泊まるんだろう? 読みたがっていた漫画、もう二冊も続きが出てるぞ」
「読むー。ねえ、この漫画ってドラマ化されたじゃん。録画してる?」
「一話から録画あるよ」

漫画の話で話題を逸らしたけれど、心の隅っこに引っかかってしまう。

お見合い相手と寄りが戻った場合、その時って結婚ってことだよね。

結婚はゴールじゃなく、問題が沢山あるということだ。
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