--Reversible--
やけに笑うから、ムッとして口を開く。
「あ、でも」
思い出したように池田も座りながら喋る。
「ほとんど完璧、ですがやっぱり先輩と一緒でいくつか足りないものもあります」
「…何?あの子に足りないものって」
聞いたのは冬夜。
その聞き方が保護者のように聞こえたのは優夜だけだろう。
池田は、やはり当たってないかもしれないけど、と前置く。
……。
当たってる。と思った。
「同じクラスなんですけど、話したことないのでよくわかんないんですけどね」
困った顔で笑う池田。
「へぇー俺の方が足りないもの少ないじゃん!」
そこは勝ちだな、と喜ぶ冬夜。「そこかよ」と突っ込む松本。
「あと、優夜くんの占いに戻るけど…あとは自己犠牲。仮面型。内に秘める者がある、と」
「こいつ時々何考えてるか分かんないときあるもんなー」と冬夜。
「………それは何も考えてない時ですよ」
全部分かってしまわれるのも困ると思うけれど。
「んんー三人に共通することは、陰と陽では陰ってことですね。目立つことはせず、陰で支えてくれる縁の下タイプの方たちです」
「へぇー……」
はっと、松本が思いついたように顔を上げて、冬夜の肩を叩く。
「ほら!だから、助っ人…」
「表にはでませーん」
さらっと交わして立ち上がる冬夜。
昼休みも、もう終わりだ。
諦めないからな!と言い捨てて先に屋上の階段を降りていく松本。
軽く頭を下げて、その後ろをついていく池田。
「ーー…あれ、当たってるようで当たってないな」
階段を降りながら、隣の冬夜が落とした言葉。
冬夜の方をみることなく、返す。
「信じるんですか?僕は信じませんよ。ま、面白い話はきけたので良かったですけど」
あくまで占いだ。
気にはするけれどそれを信じたりなんてしない。
「本人が気付けば能力者の選別ができるんじゃない?同じ星がーって」
「そうなったら脅威ですね」
「そうなる前に潰しとく?」
「物騒なこと言わないでください」