青い僕らは奇跡を抱きしめる
 父が朝からこんな事して、僕の機嫌をそこねるから、そこから嫌な気分がずっと続いてしまう。


 ほんの些細なことにむしゃくしゃし、意味もなく、ただ「チェッ」と舌打ちをして、ところ構わず八つ当たり。

 機嫌の悪さが四六時中露呈する。


 調子がでるまで時間が掛かり、何かにつけて不機嫌極まりなく、ふてくされた顔でずっと過ごす羽目となる。


 いつもむすっとして、自分勝手になってしまう。



 気難しい。

 自分でも手の付けようがない気ままさがあった。
 


 放って欲しい、一人にしてほしい。

 親からの干渉は特に、気持ちが苛立つ。


 何が自分でも気にいらないのか、自分に身近な存在になればなるほど、その感情が高まりすぐにムカムカする毎日だった。


 全てにおいて、恵まれていると自覚して、そこは感謝すべき事柄とわかっていても、素直になる事が罪であるかのような捻くれた考え。

 自分を大きく見せたい、自己顕示欲にまみれて生意気に走ってしまう。


 心が荒んで両親に反発しては、その悪びれた事を粋がってさらに悪態をつく、まだ自分をコントロールできない年頃だった。

 一人っ子で何不自由なく、甘やかされて育てられたと世間では笑いものになる対象だ。


 自分の思うようにならないと、イライラしたり、上手く行かない事で言葉がきつくなってしまったり、そういう事は誰しもあるんじゃないだろうか。


 だから余計に開き直る。


 そういうのを見かねて親は益々口出しをして、それを素直に受け入れられずに逆切れしては反抗する悪循環。

 母は腫れ物を触るように気を遣い、父は間違いを正そうと正論ばかりでえらそうにする。

 それが余計に神経を逆なでするから始末に悪い。


 わかっているけど、感情に流されて自分の非を認められずに、体の中の尖った部分をさらけ出してしまう。


 調子に乗ってしまう、ナイフのような心。


 物事や人の本心を見ようともしないで、そうであると当たり前のようにそれが普通だと思っていた。

 まだまだ未熟で、どうしようもなく突っ張ってしまう。


 それがどういうものかまだ気がついてないだけで、ただの道化に過ぎなかった。
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