青い僕らは奇跡を抱きしめる
 きっかけは些細なことだったのかもしれない。


 派手な生徒と廊下で肩が触れてしまい、俺は軽く会釈して悪かったと意思表示したつもりだったが、それを見てなかったその生徒は謝りもしないと誤解して、俺が生意気な態度ととらえたのだろう。

 チェっと舌打ちされて睨まれてしまった。

 まだそれは中学一年の頃でクラスも違ってたから、その場限りのものだと思っていた。


 ところが二年に上がって、その派手な生徒と同じクラスになったときには、地獄の始まりだった。

 そいつは肩が触れ合ったときの事をしっかりと覚えていて根に持ち、そして同じクラスになって毎日顔を合わしているうちに、イライラしてくるようになっていった。

 俺はすっかり忘れていたから無表情でいたが、それが却って無視をした見下した態度と誤解されていった。

 また勉強を頑張ったお陰で、クラスで一番の成績となり、それも気に食わない様子だった。

 大人しめのグループに身を置いてはいたけど、俺がその派手な生徒に目をつけられると、周りは係わりたくなくて、よそよそしくなっていった。

 また俺を貶めようとする輩もいて、変に近づいて俺から聞き出した情報をあることない事好き放題に言いふらされたりもした。


 要するに俺は嫌われ者だった。
< 28 / 106 >

この作品をシェア

pagetop