青い僕らは奇跡を抱きしめる


 時はどんどん過ぎ去り、俺たちは溝を埋められないまま、時間が経てば経つほど、後戻りできない残酷さを突き付けられていくようだ。


 その間それぞれの時間が流れ、俺は中学三年となり、この先の進路の事が絶えず話題となっていた。

 中高一貫校の私立に通う葉羽は、この時期何も心配することなどないのだろう。

 やっぱりそんな些細な事を思うと、俺は益々葉羽に会う事を憚られる。


 自分がどん底にいる時、葉羽のような立場の人間の前では、俺はどんどん卑屈になっていくようだ。

 葉羽には何の罪もないのに、俺の甘えから気持ちをぶつけてしまう。


 やっぱり当分、葉羽には会うべきじゃないと、俺は極力避けてしまった。

 いや、怖くて逃げていただけなのかもしれない。

 本当は、会って謝りたいし、いつものように俺に笑いかけてほしい。


 でもあんなことがあったら、葉羽も俺にはつくづく愛想が尽きたというものだろう。

 俺たちの溝は色んなしがらみに邪魔されて、そう簡単には埋まりそうにもなかった。


 俺が壊した母の恋も、また同じで、俺との間でよそよそしいものがあった。

 母はあれから表面的には幾分落ち着いたみたいに見えるが、心の中は簡単に割り切れるものではないと思う。

 でも母は強かった。

 すぐさま仕事を探し、運よく採用された新しい就職先で必死に働いていた。

 何かをすることで、気持ちを晴らしていた。


 西鶴の話は一切せず、というより、無理にどこかへ押し込んで忘れようと必死になっていた。


 かなりまだ後を引いているのが感じられ、俺にはそれが良心の呵責となって体のあちこちを痛くするように辛かった。


 そんな母親の事を気にかけると、この先高校に通っていいものか本気で悩み出した。
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