青い僕らは奇跡を抱きしめる
 まずは担任に相談してみたが、それをそっくり俺の伯母にも伝えるから、伯母は心配しだして、伯父といっしょになって色々と言ってきた。


「高校には絶対に行きなさい」


 伯父がきっぱりと言い切った。


「そうよ、淑子のことは心配しないでいいのよ。高校もここから通えばいいし、悠斗ちゃんのような子が高校で学べなくてどうするの」


 きっと学校の先生もかなり深刻に捉えて、大問題のように事を大げさに騒ぎ立てたのだろう。

 俺の成績は学年でも常にトップに立つようなものだけに、それが高校にいかないのはおかしいと半ば強気で、伯父伯母に伝えたのかもしれない。


 伯父と伯母の表情が心配しているというより、高校に行くと言い切るまで俺に辛抱強く説得するから、なんだか怒られているみたいで怖くなった。

 母も心配してその後、駆けつけては、俺を心配する懸念から感情が高ぶって切れてしまった。


「高校くらい、行かせられるに決まってるでしょ。何、その態度。もしかしてあてつけで、私への恨みでもあるの」


 「違うって、その逆」といいたかったが、そう言えば言えばできっとまた違う意味で怒り出すに違いない。


「そこまで情けをかけて貰うほど落ちぶれてなんかないわよ」


 多分こう返答されると目に見えている。

 母も少し頑固なところがあり、自分の思うようにならないと怒りで怒鳴り出す。

 いわゆるヒステリーだ。


 だからあの気の短い父親とは、性格の面でも合ってなかった。


 上からバンバンと言われると俺はなんだか疲れてきてしまい、意地を張り続けても何の得もないので、最後は高校に行くと首を縦に振った。

 それが一番のいい解決方法だった。


 それにたかが中学出たくらいで、働けるところなんてないに等しい。

 一時の意地張りで人生を決めかねても誰も得をしないのなら、俺が取る道は一つしかない。


 高校に行くこと。

 なんだか自分で蒔いた種だったけど、自分がとことん面倒臭い奴だと思わずにはいられなかった。
< 68 / 106 >

この作品をシェア

pagetop