青い僕らは奇跡を抱きしめる
 俺の成績では高校はいいところにいけると担任から太鼓判を貰い、進路はあっさりと決まってしまった。


 それでも気を許すなと最後に喝を入れられたが、これで一つの問題は片付いた。


 俺はこの結果を葉羽に報告すべきなのか迷ってしまい、学校から帰ると偶然を装う形で何度と葉羽の家の前を行ったり来たりして、ばったり出会うことを期待していた。


 ほんの少しの勇気があれば、目の前の家のインターホンを押すだけなのに、それが出来ないからやっかいだった。


 なぜいつも葉羽の前では、こうも意地を張ってしまうのか。

 葉羽はいつだって俺を受け入れて、俺の事を心配してくれるというのに。


 俺はあの時、葉羽に言ってしまった暴言を悔やんでならなかった。



 謝りたい。

 でもそのきっかけが中々つかめない。


 そんな感じで、時だけはどんどん流れていった。


 また夏が来た頃、葉羽の体調が悪化したと伯母の口から聞いた。

 熱が出ては学校も休みがちになり、頻繁に病院に通っては点滴を打っているらしい。

 どうやら葉羽の貧血は暑くなると進行するのだろうか。


「女の子はね、色々と繊細だから、鉄分が不足すると大変なのよ」


 伯母はきっとある意味の事を言ってるのかもしれない。


 鉄分、血とくれば、女性には毎月来るものがあるのは、この俺でも知っている。

 一生男にはそれについてはわからないけど、漠然的に大変なんだと俺は思った。
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