青い僕らは奇跡を抱きしめる
 お見舞いに行くべきか、その前にあの時の事を謝りに行くべきか。

 俺は悩みに悩み、とりあえずは何かプレゼントした方がいいと、それを先に考えた。


 この場合何をあげればいいのだろうか。

 甘いお菓子? それとも何か可愛い小物? 

 ここは知的に本なんかがいいだろうか。


 そんな事を考えていた初夏の夜、突然近くで救急車のサイレンが聞こえてきた。

 その音はどんどん大きくなり、自分の家の前でピタッと止まったからびっくりした。


 俺も伯父も伯母も、顔を合わせて、外を見に行った。すでに異常を感じた人々が覗きに来ていて、辺りは人だかりが出来ていた。


 赤い光がぐるぐると目の前で回って、葉羽の家が慌しくなっていた。


 「どういうことだ? なんで葉羽の家に救急車が来てるんだ」


 俺は教えて欲しいと、伯母と伯父の顔を見た。


 伯父は心配して、救急車に近づくと、ちょうどその時担架に乗せられた葉羽の姿が見えた。


 口元に酸素マスクがつけられ、意識があるのかさえ分からないほどにぐったりとしていた。

 その側で母親が慌てている。


 そして葉羽は救急車に乗せられると、父親も一緒に乗り込んだ。

 その後、救急車はけたたましいサイレンを鳴り響かせて、素早く走り去って行った。
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