青い僕らは奇跡を抱きしめる
 俺はその晩、葉羽の事を心配しつつベッドに入った。

 俺の部屋にはもう一組布団がしかれて、そこに兜が横たわっている。

 電気を消した暗い部屋で、兜は何度も寝返りをうっている様子だった。


「兜、寝られないのか?」

「うん、ちょっとね。ねぇ、お兄ちゃん、お姉ちゃんはエムデスだけど、治るよね」


「M? ああ、またマゾの話か。そうだな。あれは治るというより癖というようなものだから……」


 なんか俺は答えに困ってしまった。


「お姉ちゃん、僕がエムデスなんて言ったから、一時かなり落ち込んじゃって大変だった」

「そういえばなんか塞ぎこんでるときもあったな。そっかそんなこと言われてやっぱりショックだったのか。だけど、一体誰がそんなこと最初に言ったんだい?」

「お姉ちゃんのお医者さん」

「医者?」

「うん、お医者さんがお父さんとお母さんにそういってるのを、僕たまたま聞いちゃったんだ」


 俺はなんだか急に違和感を覚えた。

 兜が言った「エムデス」という言葉が、急に重い響きとなって俺を不安がらせた。

 何か俺の知らない意味がありそうで、俺は考え込んだ。
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