青い僕らは奇跡を抱きしめる
 その日は寝不足で、朝から疲労を感じていた。


 学校にも行きたいと思えず、それよりも葉羽のいる病院に飛んで行きたい。

 伯父と伯母にそのように話せば、難しい顔を俺に向けた。


「悠斗ちゃんの気持ちも分かるけど、あちらもきっと今は混乱して大変だと思う。だから関係ない私達は、落ち着くまで遠慮すべきよ」


「でも、伯母さん、兜が葉羽に会いたいと思ってるかもしれないじゃないですか。兜は身内でしょ。だったら俺が病院に連れて行けるし」


「だけど、花咲さんからは落ち着くまで預かって欲しいとの約束だし、いくら兜ちゃんが身内でも、向こうから連絡があるまで待つのが礼儀だと思うわ」


「そうだよ。あちらの親御さんだって心配で仕方ないんだよ。そんな時に関係ないものが現れたら、気を使うし、余計にしんどくなると思うんだ」


 伯父まで難色を示した。


「でも、もし葉羽に何かあったら、俺……」


 泣きそうになる俺の気持ちも分からないではないので、伯父と伯母は困った顔をお互い向けて、渋い顔つきになっていた。

 それでも首尾一貫して自分達の気持ちを変えることなく、俺は俺の普段すべき事をしないさいと施された。


「さあ、まずは朝食を食べないとね」


 伯母はその後は朝食の準備に取り掛かった。


 兜もその頃ちょうど起きてきて、眠い目をこすってぼんやりしていた。

 慣れない場所での朝に、戸惑っている様子だった。
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