あなたの幸せ、買い取ります [短編]
聴き終わった私は、零さんから目を離すことができなかった。彼女は仮面の下で泣いていた。零さんはその時から時間が止まっている。
「幸せを売るということがどれほど残酷なことかわかりましたか。それでもあなたは売りますか。」
「幸せを売るということがどんなことなのか、分かりました。しかし私はお金が必要なのです。全ては売りません。少しだけ売ります。」
「そうですか。ではおいくら分の幸せを売りますか。」
私はとりあえず夢の国に行けるほどのお金が欲しいのでざっと十万円程度の幸せを売ることにした。夢の国に行くために幸せを売るのか……いや、友人と行くことに意味があるのだ、と自分を納得させた。
「では、十万円分の幸せを買い取ります。この幸せはいつの幸せかは指定できません。これをゆめゆめ忘れてはなりません。」
私は十万円を受け取り、紅茶を飲み干して立ち上がった。
「幸せの返品はできませんが、またいつ背もお越しください。私はあなたの幸せをいつでも願っております。」
店の外に出るとすでに太陽は高くなっていた。道路に陽炎が見えるほど暑かった。
「幸せを売るということがどれほど残酷なことかわかりましたか。それでもあなたは売りますか。」
「幸せを売るということがどんなことなのか、分かりました。しかし私はお金が必要なのです。全ては売りません。少しだけ売ります。」
「そうですか。ではおいくら分の幸せを売りますか。」
私はとりあえず夢の国に行けるほどのお金が欲しいのでざっと十万円程度の幸せを売ることにした。夢の国に行くために幸せを売るのか……いや、友人と行くことに意味があるのだ、と自分を納得させた。
「では、十万円分の幸せを買い取ります。この幸せはいつの幸せかは指定できません。これをゆめゆめ忘れてはなりません。」
私は十万円を受け取り、紅茶を飲み干して立ち上がった。
「幸せの返品はできませんが、またいつ背もお越しください。私はあなたの幸せをいつでも願っております。」
店の外に出るとすでに太陽は高くなっていた。道路に陽炎が見えるほど暑かった。