時間
「もう諦めなさい。早く出てきて。」
母の声が病室の外から聞こえる。
「やだ」
私の友達・春奈の手をぎゅっと握って泣いていた。春奈は二年のときにいじめから助けてくれた。それから大親友だ。でも…
「ちょっと。いつまで泣いてんのよ。パートに遅れるじゃない。もう、いちいちめんどくさいんだから…」
私はカチンと来てがらっと病室のドアを思いっきり開け放って母をありったけの怒りを込めて怒鳴りつけた。
「お母さんは私の友達のことより自分のパートのほうが大事なのね!人の命とパートを比べられるなんてどうしてそんなにのんきなの?!いっつもそうだよね、お母さんって。自分のことばっかり。悲しむのは当たり前じゃない。もう知らない!」
私は何も言わない母にいらいらが募り、とうとう病院を飛び出した。
私の友達・春奈は死んだ。
もう会えない。
私の親友は死んだんだ。先程までお葬式をやっでいた。春奈は優しい子だった。優しくて、思いやりがあって…いや、同じか。
とにかく自慢の親友だった。
…というか、今からどうしよう。やばいな。これはさすがにヤバイ…家に帰ろうか。いやいや、まだ2分も経ってないぞ。どこに行こう?それにしても、寒い。春名もこんな寒い時期に病気になるなんて。最悪のバットエンドね。まあ、今のあたしには気にする余地もないけど。
うーん、でもさすがに寒いし、くしゃみ出るし、頭痛いし、えっとー…やばいかも。
とりあえず梨花の家に走った。少しでも体を動かしたほうが暖まるからだ。
ピンポーン。ぬくぬくのんびりしていた様子の梨花が出てきた。「なに?」と聞かれて、自分は何をしに来たのか分からなくなった。
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