「えっとー…家出してきた」
そう言うと、梨花ははぁ?!と叫んで一応中へ入れてくれた。
こたつに入って、ほかほかのココアを飲んでぬくぬく温まっていた。すると梨花が単刀直入に聞いてきた。
「で?どうすんの?ここに住むの?帰んの?」
いやいやいや。普通、どうして家出してきたのか聞くところでしょ。でもそんなことをごちゃごちゃ抜かす暇がなかったので「もう帰ろかな」と言った。
すると梨花が急に笑いだした。そしてとことん悪態をついたあと、最後に「お前もう帰るとかプライドゴミだね」と付け加えたあと、急に真顔になり、ふっとまた緩めて、へらっと笑って唐突に切り出した。
「私も家出する!」
「は?」
梨花は一度決めたら絶対曲げないので仕方なく頷くとおかあさーん!と叫びだした。
「え?!ちょっと待って、お母さんに言うつもり?」
「え?うん。お母さん!私家出してくる!」
えええええ。
「分かったわ、二人共気をつけてね。はい、ナイフとフォークとスプーンと箸とご飯と…あと飲み物とお金ね。ちゃんと持った?」
すぐに決める梨花もすごいけど、それを受け入れるお母さんもすごい…この人たちなんかおかしいんじゃないの。
「じゃあゆかたん、レッツゴー!」
「おー!」


いや。そんな軽く行くもんじゃないでしょ。どこ行く気なのコイツ。
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