難病が教えてくれたこと
「ほれ、ここ空いてる。」
いつものお店。
いつもの場所。
私が松葉杖をついているからなのか。
お店の人は快くこの席に案内してくれる。
「ご注文はいつもので?」
多分アルバイトの若い男の子がいつもの様ににっこり笑う。
「そう!頼んだっ!」
「頼まれたあ!」
いつもと頼むものはおなじ。
私はカルボナーラ。
裕くんはドリア。
よくあんなに熱いもの食べれるよね。
尊敬しちゃう。
私絶対あんなに熱いもの食べられないわ…
「李那、少し食べる量増えた?」
「まあ、…んー前に比べたら食べるようになったよ〜」
ほんとに食べなかったからなあ、一時。
苦しくてしょうがない時とか全く食べなかったもんなあ…
「はい、カルボナーラとドリアお待たせ致しました。熱くなっておりますのでお気をつけください。」
バイトの男の子が裕くんににっこり笑いかける。
「それから店長がカルボナーラのチーズサービスで多くしましたので、ゆっくりお食べ下さい。」
「わあ!ありがとう!」
チーズの量増やしてくれるとか神か!
神なんだな!店長!
「これ食べて元気になってくださいとのことです。」
んー…元気なんだけどなあ…
「元気だよ〜」
「まあ、そうですね…ははっ」
店長さんも奥で苦笑いしてる。
「いただきまあーす!」
カルボナーラをフォークに巻き巻き。
そしてとろーりとしたチーズを切る。
もう既にいい香り…
美味しそう♡
ひと口食べるとお口の中に甘くて美味しいカルボナーラの味が…
「あつっ」
「ドリアだもんね。」
裕くん猫舌の癖に熱いもの食べるからだよ。
毎回思うけどさあ…
「ん、美味しい。」
「だね!ここの料理美味しいよねっ」
裕くんはにっこり笑ってうんうん頷いている。
全く、素直でよろしい。うん。
【如月李那side END】

【古川海澪side】
「李那〜」
「いらっしゃーい」
「おじゃましまーす」
蒼空の試合を見に行くために予め予定を立てておく私たち。
なんか旅行に行くみたいで毎回楽しい。
「当日、トイレとか考えて早め早めの行動しとけばいいかな?」
「そうだねえ…どんだけの人いるかわかんないけど…」
「だったらこの辺に座って空いてきたら動こうよ。
私も杖とか付くから空いてから動きたいし。」
早めの行動は大事だけど、李那の体を考えると早めは難しいな…
「まあ、トイレ済ませとけば安心だし、早めを心掛けたらいいと思うよ〜」
…予定はある程度たった。
うん、やっぱり李那はサクサク決めてしまうから早い。
「さあ、予定立ったし、私帰るね〜」
「えー、帰るの?まだ喋ろうよ!」
李那の言う喋る…
私と秀一のことを根掘り葉掘り聞くから…
出来れば立ち去りたかったですかねえ…
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