難病が教えてくれたこと
「加藤先輩!」
俺はトイレから戻ってきた先輩に飛びついた。
…勢い余りすぎたわ。
「お?どした?腹痛てぇのか?」
どんだけ俺腹痛いイメージ着いてるの。
恥ずかしすぎだろ。
「全力で楽しみましょうね!」
「…おう!!」
「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
他の先輩も喜んで円陣をくみに来てくれた。
「よっしゃ!とりあえず2回戦も勝つぞぉぉぉぉ!」
加藤先輩が気合を入れる。
俺はそんな先輩を見るのが大好きだ。
「ぉぉおおおおお!!」
だから、この時は久しぶりに声を張り上げたかもしれない。
「ま、とりあえず今からの試合はないけどな。」
…今ので雰囲気ぶち壊しだよ先輩…
確かにないけどさ…
【更科蒼空side END】

【如月李那side】
「よっ、蒼空」
試合後。
私は海澪と世莉香と一緒に控え室に来ていた。
もちろん、めんどくさかったけど手作りのお菓子も持参して。
「はわわ…蒼空くん、カッコイイ…」
…ずっと隣でこんな調子だよ…
どんだけ好きなの、世莉香…
「ホイ、皆さんで食べてくださいな。
味の保証はしません。」
まあ、世莉香がお菓子作り得意だから不味くはないと思うけど。
私が作った分は保証できん。
料理は出来るけど、お菓子は作れません。
「うわ、女子が作ってくれたお菓子だ!初めてだ!」
…先輩、…可哀想。
貰ったことないんだね、バレンタインとかも。
「いっぱいあるんで食べてくださいね。」
蒼空はボケーッといつもの調子でいる。
リラックスタイムだ。
うん、いつもの蒼空だ。
試合中も楽しんでたもんね、こいつ。
「蒼空」
「おお、李那。」
もう緊張してない。
これでこそ本来の蒼空の良さが出てくる。
「ご飯は?」
「カップ麺食べた。」
「そうかそうか。私達は美味いイタリアン食べてきたぞ。」
「ずるっ」
「試合終わったらみんなでご飯でも行くんでしょ?」
さっきトイレで先輩とあった時に言われたんだけど。
良かったら一緒にご飯でもって。
別に行くのはいいけど、どこに行くか、だよなあ。
「そうそう、李那達も行くんだろ?」
「やっぱりそう来るよなあ。」
「だってお前加藤先輩やほかの先輩たちの助っ人いってたじゃん。」
…恨むぜ助っ人部。
世莉香や海澪はノリノリで行くみたいだけど。
私のお財布今寂しくなってるんだけど…
「考えとくよ私は。」
だいたいここまでの電車代で今日のお金は飛んで行ったから既に無いに等しいし。
この状態でご飯なんかいったら大変。
私のお財布が寒くなってしまう。
「え、李那行かねぇの?」
「え〜…」
考えとくって言ったじゃん…
「とりあえず試合に集中しなさい。」
私は蒼空にピシャリと言いつけるとそのまま部屋を出た。
【如月李那side END】
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