難病が教えてくれたこと
残された私と世莉香は唖然と李那を見送る。
「李那、病院行くとか聞いてなかったんだけど。」
「古川さんも?私も聞いてなかった…」
「まあいっか。試合の流れは連絡するから。」
「そうね。私達はリアルタイムで見ましょう。」
リアルタイムって…
「じゃあ席戻ろっか。」
「そうだね。」
…それにしても病院って…
大丈夫なのかな?李那…
【古川海澪side END】

【如月李那side】
蒼空の試合最後まで見たかったなあ〜…
何かに興奮したの久しぶりで楽しかったのに…
さっきトイレで動けなくなったし不安だから帰ろうと思ったんだ。
ほんとに親と病院から連絡あったけどさ。
「…なんでいるの。」
「遅かったね?おかえり。」
「…」
めんどくさいな…
さっさと帰宅すればいいのに…って…?!
……?!?!
「ちょ、如月さん!大丈夫か?!」
…やばいやばいやばいやばい…
もうやだ…もうやだあ…
息苦しい…
なんでなの…?!
カバンを降ろそうとしただけなのに…なんでなの…
こんなの…もう耐えられない…
「呼吸器用意してくるから待ってて!」
医者は私をベットに座らせると走って機械を取りに行った。
…もうやだ。
苦しすぎるよ…
少し落ち着いてきた私は空を見上げた。
…もういっか。
お姉ちゃん、今からそっちに行くね。
私は窓を開けて身を乗り出した。
ここは4階。
落ちたら多分死ぬよね。
下に植え込みあるけどさ。
…何も考えないでおこう。
お姉ちゃん。迎えに来てね。
こんな気持ちだったんでしょ?
苦しいね。お姉ちゃん。
私はそのまま頭から飛び降りた。
…バイバイ。
【如月李那side END】

【中矢裕side】
「…えっ?!」
風呂に入っていた間、誰かが来た。
慌てて母さんが呼びに来て出たら玄関で李那のお母さんが生気を失っていた。
詳しく話を聞くべくリビングに通して向かい合う。
李那が病室から飛び降り自殺しようとしたことを聞いた。
…何があったんだ…?
李那。相談くらいしてくれよ…
1人で抱え込むなよ…
「どうしよう…
今…治療してますけど…ああ…」
「落ち着いてください!」
母さんが李那のお母さんを抱きしめる。
奈那さんが死んだ時と同じくらい震えている。
「どうして飛び降りようとしたんでしょう…」
「…医師によれば…病院に戻ってきて…呼吸困難になったらしいです…」
んん…
何となくわかってきた気がする…
「呼吸困難が耐えられなくなった…?」
…こうとしか説明がつかない。
「とりあえず俺たちの中だけに留めておきましょう。美那ちゃんには…話すべきだと思います…」
「…美那になんて説明したらいいの?!
私でもこんなになってるのに…こんなの話せるわけがないわ!」
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