難病が教えてくれたこと
蒼空からの返事はすぐに来た。
『え…ほんとですか…?』
まあ、李那明るかったからな。
直ぐには信じられないか。
『ほんと。
どうなるかは分からないけど。』
余程心配なのか。
すぐに既読つくし。
こいつ返信早いし。
『そんなに思い詰めていたとは…
友達なのに気づけなくてすみませんでした。』
…蒼空のせいじゃないのに…
『気にするな。仕方ない。』
李那と同じだな。
とりあえず自分に責任感じて自分を責める。
『自分もこれから気をつけておきます、目の届く範囲は。』
『うん、ありがとう。
それと準優勝おめでとう。』
さっき海澪ちゃんからLINE来てたから知ったんだよな。
やっぱり優勝は吉野高校だったけど、準優勝になったって。
蒼空上手かったらしいしな。
『ありがとうございます。
また李那の様子教えてください。』
李那。
こんなに待ってくれて、心配してくれてる人が沢山いるんだ。
早く戻ってこい。
いつものあの笑顔で。
【中矢裕side END】

【更科蒼空side】
李那が、自殺未遂。
ちょっと衝撃受けた。
…1人じゃ無理だ。
海澪にでも相談するか。
『さっき裕さんから聞いたんだけど。
李那が自殺しようとしたらしい。』
『どういうこと?!』
…早くね?!
皆返信するの早くね?
『詳しいことはまだ分からんが。
わかり次第連絡してくれるはず。』
あの裕さんだ。
優しくて寛容な裕さんだ。
確実に連絡くれるだろう。
『じゃあその連絡私にも回して。』
『了解。』
1人で抱え込むのが出来ない。
それくらい李那が大きな存在なんだ。
俺にとっては。
いつも寝てばかりいる俺だけど、人は大事に思ってる。
こんな俺に優しく声を掛けてくれる裕さんも。
明るくて趣味の合う海澪も。

いつも笑顔で何事にも真っ直ぐな李那も。

全部大事なんだ。
『裕さん、これからは俺も李那の様子見に行くようにします。』
月並みな言い分かもしれない。
でも俺は絶対、見守る。
大好きな、子だから。
【更科蒼空side END】

【古川海澪side】
…私はまだ放心していた。
だって、あの優しくて明るい李那が…
あんなに思いつめていたなんて知らなかったから…
…とりあえず、落ち着こう。
何より取り乱しているのは多分裕くんだもん。
私じゃない。
『李那が、自殺しようとした。』
『どういうこと?』
世莉香にも一応伝えておこう。
私や蒼空だけの胸の中では消化しきれないもん。
聞いただけのことしか伝えられないけど、李那の思いはわかる。
これでも友達歴長いもん。
李那が何を思いながら自殺しようとしたのかくらい…嫌でもわかるよ。
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