難病が教えてくれたこと
辛かったんだよね。
苦しかったんだよね。
…早く楽になりたかったんだよね。
でも、李那を必要としている人は沢山いるから。
まだ、死なないで欲しい。
世莉香には聞いたことしか分からないと伝えて私は布団に潜り込んだ。

……泣いちゃダメなのに。
今、泣きたいのは裕くんなのに。
私が…泣いちゃダメなのに。
涙が止まんないよ…
「…李那っ…」
ごめんね、裕くん。
やっぱり我慢できないよ。
今だけ泣かせて…

ーピロリン♪
…あれ…
いつの間にか朝に…?
目が重たい…
泣きすぎた?
手鏡で顔を見ると真っ赤に充血し目。
「…ひどい顔…」
とりあえずこの腫れ何とかしなきゃ。
早く目覚めてよかった。
何とか目の腫れ引いてくれそう。
タオルをレンジで数秒。
温タオルを作って目に当てる。
程よい温度のタオル。
このまま眠ってしまいそうだ。
ーピロリン♪
…さっきから誰?
携帯を見ると蒼空からのLINE。
…珍しいな、どうしたのかな。
『今日学校終わったら李那の所行かね?』
…返信は…いっか。
学校で返事しとけばいいよね。
私はLINEを打つ。
蒼空にじゃなくて、秀一に。
『秀一、ごめん、今日会えない。』
毎日のように会ってたからなあ…
1日くらいいいでしょ。
『了解、またあした。』
変換出来てないし…
寝ぼけてるんだな…
私の彼氏は理解ある人だと思う。
すんなり会えなくなっても聞き入れてくれるし。
「どうしたの、海澪。」
「あ、お姉ちゃん。おはょ。」
「おはよ。どうしたの?」
いつも1番に起きるお姉ちゃん。
古川海緒【フルカワミオ】。
いつも優しいんだ。
「ちょっと目が腫れぼったくてさ。
お姉ちゃんは今日仕事?」
「そうそう、今から準備するの。」
基本お姉ちゃんとは朝しか喋らない。
帰りは私が寝てから帰ってくるから…
それでも私はお姉ちゃんが大好きだ。
「どれ?おお、だいぶ引いたね。普通の目になってるよ。」
お姉ちゃんにタオルをどかされて顔を覗き込まれる。
綺麗なお姉ちゃんの顔が近くに…
「海澪、なんか綺麗になったね?
彼氏とは仲いいんだ。」
「うん、仲良し。」
せっせと自分の準備をしながらお姉ちゃんは私と話す。
お姉ちゃんにとっても私と話すのは久しぶりなんだろう。
ここ数ヶ月、まともにお姉ちゃんと会話したこともなかったし、まともに会ってもいなかった。
「よし、じゃあ海澪、行ってくるわ。」
「行ってらっしゃい、お姉ちゃん。」
ほんとにお姉ちゃんの朝は早いんだなあ…
お姉ちゃんがいったということはまだ私には余裕がある。
さて今からどうするか。
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