難病が教えてくれたこと
蒼空が李那のことを好きなのはもちろん知っている。
だからこそ、少し不安だ。
「李那、体どうだ?」
たまにぼーっとする李那。
体が冷えないか心配だ。
「薄着だけど。」
李那はかなり薄着だ。
まあ公園に来るなんて思ってなかったと思うしな。
「ん?大丈夫」
とか言いながら体震えてますが…
仕方ないな。
俺はパーカーを脱いで李那に手渡す。
「着とけ。風邪ひくぞ。」
「裕くん寒いじゃん。」
「俺はいいの。」
だって俺男だし。
ちょっとくらい風邪ひいても平気だし。
李那に風邪ひかれるよりマシ。
「…なら遠慮なく。」
ドヤ顔しながら着ないで。
俺だって寒い。
仕方ない。薄いTシャツ1枚だもん。
寒いです。
日は照ってるけど!
「海澪、柊、蒼空、私たち帰るね。」
「え?」
「また遊びにおいでよ。叶夢とまってるから。」
そろそろ置いてきた叶夢が心配なんだろう。
自分も羽を伸ばせたし丁度いいのか。
それとも寒いのがバレたのか。
タイミングよく李那が帰ると言い出した。
俺をチラリと見てクスリと笑う。
俺は車椅子を押して家まで戻る。
「寒かったんでしょやっぱり。」
やっぱり李那にはお見通しか…
なんでもバレる気がする。
李那を家用の車椅子に移動させながら俺は少し暖を取る。
李那もそれを分かってるらしく、何も言わない。
「よし、大丈夫だったか?」
俺は暖を取れて満足だけどさ。
「うん、平気。
裕くんだから安心して身を任せられるよ。」
「李那の介護していいのは俺だけ。」
「成長したら叶夢にもやってもらうからいい。」
ぷいっとそっぽを向いてしまった李那。
真っ赤な顔は見事にニヤついていました。
「あー」
「ん?」
「まんまー」
いつの間にか叶夢が廊下に。
チラリと李那を見ると口をあんぐり。
「…叶夢?」
「うあ?」
李那が聞きたいことが何か分かる。
「裕くん!さっきの聞いた?!」
やっぱりね。
「うん。まんまって言ってたね。」
「私、のこと…だよね?」
「うん。李那をママって言いたかったのかもね。」
「だとしたら嬉しすぎる…」
叶夢は李那に手を伸ばして抱っこを要求する。
仕方なく俺が引き上げて李那の膝に載せる。
そのまま車椅子を押してリビングに入る。
「ぷあっ」
今度はなんの練習かな?
一生懸命言葉発しているけど…何言ってるか分からない…
「あうー」
「どうしたの?叶夢。
クルクル楽しいねえ〜」
ベビーベッドの上にある天井の扇風機を凝視している叶夢。
李那がお母さんしてる。
その姿が昔からは考えられない。
「まんまあー」
「まんま?ママ?」
「まあー」
李那が涙ぐんでる。
まさか、嬉しすぎて泣いてしまうんじゃ…
「今日は嬉しいことが多すぎるう〜…」
李那は叶夢をギューッと抱っこして俺を見る。
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