難病が教えてくれたこと
李那、大丈夫かな…
あんまり無理しないといいけど…
「李那なら大丈夫だろ。
あいつはやりきるタイプだからよ。」
「分かってるよ、蒼空。」
今は、応援することに専念しよう。
李那、頑張って…
【古川海澪side END】

【如月李那side】
うーん…とてつもなく足が痛いなあ…
着地失敗したからなあ…
「如月さん、大丈夫?」
「…?誰?」
んん?誰だっけこの人。
さっき海澪と話してた人だよね?
「あ、俺吉野高校の柊。」
「ぜってえ負けねぇ。」
吉野高校にだけは負けてなるものか。
奇遇にも私と同じアンカーだ。
こいつにだけは負けたくねぇ…
「ええ…」
「勝つ」
「染井高校のエースには勝てないよ…
どうして今回出ることになったの?」
「頼まれたから。出るはずの子が骨折したから。」
「そういう事ね。」
グラウンドを見ると丁度染井高校と吉野高校の接戦だった。
裕くんが走っている。
…あ、そうか。
あの日。
一年前も私アンカーで走れなくなったんだ。
…あれ、私どうやって走るんだっけ…
「李那!」
…どうしよう、足が動かない。
「楽しめ!」
裕くんは私に必死に訴える。
こちらに走りながら裕くんは私に走り方を教えてくれてる。
そしてバトンを貰った。
「お前は呼吸するだけで走れる!」
…こきゅう…
呼吸か!
わかった、ありがとう裕くん…
「楽しめ!李那!」
私は柊を置いてそのまま突っ切る。
後ろから追いかけてくるのが分かる。
ゴールまであとすこし…
うーん…テーピングもう少しきつくしとくんだった。
湿布貼ればよかったなあ…
「李那!頑張れ!」
分かってるよ、うるさいよ。
走るので精一杯だっつーの。
「…りな、がんばれ。」
…懐かしい声だね。
……お姉ちゃん…
「1位!染井高校!」
「李那ああ!」
陸上部の皆や応援してくれてた海澪や蒼空。
みんなが私を囲んだ。
「足平気?!」
「ん、大丈夫。」
「気持ちよさそうに走ってたな、李那」
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