難病が教えてくれたこと
さて、俺は…と。
とりあえず着替えよう。
ープルルル…
誰だこんな時間から…
って言うほどの時間でもないか。
9時前だもんな。
「もしもし。」
『おお、裕、今からボーリング行くけど、行く?』
「行く。」
ボーリングは大好きだ。
李那も上手いけどガターがいっぱい出るから見てて面白い。
『即決かよ。じゃあ今から来いよ。』
この辺のボーリングか。
『あそこな。』
「了解」
俺は割と近くにあるボーリングに向かった。
【中矢裕side END】

【如月李那side】
「あっ、李那!ここ!」
私の家から15分位のカフェ。
海澪との待ち合わせに丁度いい。
「海澪、お待たせ。」
「大丈夫。ごめんね、急に。」
「それで、どうしたの?
…あ、アイスコーヒーで。」
私が席につくと店員さんがやってくる。
注文だけして私は海澪と向き合った。
海澪はアイスミルクティーを頼んでいて、すでに半分くらいになっていた。
「あのさ…」
「ん。」
アイスコーヒーを飲みながら私は海澪の話に耳を傾けた。
「…柊秀一って、知ってる?」
「ああ、あいつか。吉野高校陸上部部長にして短距離エース。」
知ってるも何も大会で毎年顔合わせてるよ。
「それで、柊がどうしたの?」
「…なんていうか、その…」
「まさかあれ?惚れましたーみたいな?」
あの柊に限ってそれはねぇな。
「…うん、そう。」
思わず飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになった。
冗談が…マジになってしまった。
まさか、あの柊が…?
「1回、ちゃんと考えた?」
「考えたよ?」
海澪の顔はいつになく真剣で。
疑いの余地は全くなかった。
「…蒼空とのこともちゃんと考えた。」
「…」
蒼空とのこと。すっかり忘れてた。
そっか、海澪…
蒼空のことが好きだったよね。
「私なりにちゃんとケジメ付けるよ。」
「蒼空への片思いに?」
「うん、だってどうせ蒼空、私見ないもん…」
海澪も辛い片思いしてるんだな…
「…海澪…」
「どうすればいい?私、柊くんと上手くやって行けるかなあ?!」
海澪は泣きそうな顔で思いの丈をぶちまける。
「…」
「柊くんは私を見てくれてるのに私は蒼空を見ちゃうかもしれない…」
「…」
「ねぇ李那、…どうすればいいの?」
うーん…
海澪、ほんとに蒼空の事好きなんだな…
こんなに爆発しちゃうくらい溜め込んじゃってるんだ…
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