難病が教えてくれたこと
「そんな…
お姉ちゃん…」
私が止めなくても止めても、死ぬつもりだったの?
お姉ちゃんの自殺方法は交通事故だった。
病院の真ん前で死んだんだ。
「李那、奈那さんは限界まで生きたんだ。
奈那さんがなんで、死んだのか分かるか?」
「…」
「なんで奈那さんは笑顔で死んだんだ?
…李那にはそれが分かるはずだ。」
分かるよ、だって、お姉ちゃんは…
私に笑って欲しかったんだもんね。
「笑って欲しかったから。」
そう、お姉ちゃんは私に笑って欲しかったんだ。
死ぬまで、笑顔で。
「そうだ。だから李那が気に病むことは無い。
奈那さんは自分で死ぬことを選んだんだから。」
…お姉ちゃん…
「裕くん、ごめんね、取り乱して。」
「いいよ。それが李那だもん。」
…さすが裕くん。
私のことよくわかってる。
「じゃあ帰ろうか。」
「そうだね。」
私と裕くんは仲良く手を繋いで元来た道を引き返した。
家が隣だからずっといられる。
「…じゃあ李那、またな。」
「うん!おやすみ!」
「おやすみ、李那。」
私は裕くんにはバイバイすると自分の家に入った。
「ただいまーっ」
「あ、お姉ちゃん!おかえり!」
「李那!無事だったのね!」
…なんのこと?
「さっきニュースで通り魔がこの街に出たって聞いて…
李那の帰りか遅いから心配してたのよ!」
え、通り魔?!
嘘、そんな…
「どんなやつ?」
「まさかあんた、倒しに行くとかじゃ…」
「えへ、そのまさか。久しぶりに暴れたくなっちゃった。」
こういうの見るとぶっ倒したくなる。
ニュースで通り魔のことや特徴を覚える。
…通り魔のくせに刃物持ってないとか、ばかなの?
馬鹿なんだね、よくわかった。
「そんじゃあ行ってくるね!」
私は霊狼として有名なピンクのパーカーを羽織る。
普通に着心地がいいし、何より動きやすいから好きだよなあ。
「うーん…この辺りのはずなんだけど…」
「やあ、お嬢さん、夜出歩くなんて度胸あるね。」
…こいつなのかな?
通り魔のくせに刃物持ってないくそバカは。
「ダメじゃないか、こんな夜遅くに出歩くなんて。」
「どうして?」
「僕みたいなやつに襲われるからさ!」
やったあ、ビンゴ!
自分から出てきてくれたよ。
探す手間が省けて良かった!
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