難病が教えてくれたこと
「おはよう、裕くん。」
中矢裕【ナカヤヒロ】。
私の幼馴染にして私の彼氏。
付き合って…どれくらい経つんだろうか…
中学3年間と…今だから…多分合わせて3年半年かな。
とりあえず大切な人だ。
「それじゃあ行こうか。」
「うん、お母さん、行ってきます。」
「行ってらっしゃい、李那。」
美那も裕くんの弟の風雅くんを待ってるからまだ来ない。
私と裕くんはいつも早く行っている。
理由は簡単だ。
裕くんの自主練が見たいだけだ。
裕くんは陸上部。
私も元は陸上部だ。
中学では短距離と高飛びをやってた。
高校でも1年まではやってたんだ。
だけど…この体のことが発覚してからは喧嘩同様、やってない。
でも今日はなんか調子がいい。
「李那、今日調子いいならやる?」
「ジャージ持ってきてないよ〜」
「貸してやるよ。」
裕くんは長距離をやってる。
幅跳びもやってて、すごくカッコいいんだ。
「…じゃあ、やろうかな。」
「でもあんまり無理すんなよ。」
「どっちだよ…」
私は裕くんのジャージを借りてトイレに向かう。
着替えると裕くんはもう長距離を走っていた。
制服で。
「裕くん。お待たせ。」
「大丈夫?」
「サイズはゴソゴソですかね。」
「だろうな…」
多分裕くんが聞いてくれた大丈夫?は体のことだと思う。
だけど私は気付かないふりして別の答えを言う。
これだから私達は合ってるんだと思う。
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