難病が教えてくれたこと
久しぶりに体操した。
やっぱり体が拒否してるのがわかる。
だって陸上には苦い思い出しかないから…
確か、高1の大会の時…
突如走れなくなってそのまま倒れてしまったんだ。
そのまま緊急搬送されて今の病気のことが分かったんだ。
「李那、走るか。」
「うん!久しぶりだなあ」
「なんだかんだ楽しみだろ。」
…楽しみだけど…走るの怖いかな。
走れば走るほどあの思い出が蘇ってくるから…
ータッ…タッタッタッ…
あ、この感じ、久しぶり。
体が風を切るこの感覚。
忘れたくても忘れられなかったこの感覚…ッ!
隣を見ると裕くんは私を見て笑ってくれた。
「な?自分の言った通りになったろ?」
…確かに。
私自身の言った通りになった。
確かこの言葉が裕くんを陸上に招いたんだ。

『風を感じるの、楽しいよ!やろうよ!陸上!』

…ありがとう裕くん…
いつも私の近くにいてくれて、私の心を読んでくれて。
「まだ走れる?」
「うん、走れる、今日は調子いいかも。」
これも毎日の投薬のおかげかな。
私自身投薬してたら何となく体長持ちしそうな感覚になるんだよね。
「そっか。なら1周してみる?」
「…うん!」
久しぶりにコートを走る。
走るのはあの陸上部の大会以来だ。
体育祭でもリレーとかは避けてたから…
先生には病気のことは言ってある。
いつ倒れるか分からないから。
あとは裕くんと1番の友達の2人にしか言ってない。
更科蒼空【サラシナソラ】。
あ、男の子ね。
それと、
古川海澪【フルカワミレイ】。
海澪も蒼空も高校からの友達だけど1番仲良しだから言っておいた。
言った時は…それぞれ違う反応だったっけ…
確か蒼空はなんか心配してるのか動揺してるのかわかんないような感じで海澪は心配してくれてたんだよね。
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