難病が教えてくれたこと
…泣いたらダメなのに…
今、誰よりも泣きたいのは李那のはずなのに…
「…俺らで良ければ、いつでも愚痴でも聞くからな…」
「私だって聞くよ…」
「ありがとう!海澪!アリス!」
「誰がアリスじゃ。」
「あはっ!蒼空に決まってるじゃん!」
…いつもの明るい笑顔。
李那は俺らの為に今、笑ってる。
誰よりも辛いのは李那だ。
この笑顔のしたはどれくらいの辛さがあるんだろう…
李那…頼むから…
弱音吐き出してくれよ…

…そしてお昼から。
全校集会が開かれ、続々と人が入ってくるのが見えた。
『…皆さん、お集まりいただきありがとうございます。』
静かに、李那が語り出す。
『まあ、私のこと知らない人がほとんどだと思いますが、陸上部の人に聞いていただいたら大体はわかると思います。はい。』
…相変わらずふざけてる部分もある。
『今日お集まり頂いたのは私のことをお話するためです。
関係ないと思わず聞いていただけたら光栄です。』
李那は今までに見たことがないほど真剣で真っ直ぐな瞳をしていた。
『…私は筋萎縮性側索硬化症という難病に罹っています。
一般的に、ALSと呼ばれる筋肉が動かなくなっていく病気です。』
会場がざわつき始め、李那は少し黙る。
『今日松葉杖を付いているのを不審に思った方がいると思います。
私はある程度この病気のことを隠してきました。
でももう、隠しきれないようになってしまったので皆さんに伝えることにしました。』
…それほど、進行しているんだな…
『主な症状は説明するのめんどくさいので各自で調べてください。
ALSと検索したら出てくるはずです。
…どうか、皆さんの家族や友達でもいいのでALSについての理解をよろしくお願いします。』
李那はペコリとお辞儀して壇上から降りてきた。
松葉杖が使いにくいのか降りると言うより…
お尻を着きながら降りてきている…
裕さんが李那を迎えに行く。
李那をおんぶして戻ってきた裕さん。
その後は校長の長い話に付き合わされていた俺たちであった。
【更科蒼空side END】

【如月李那side】
…き、緊張したあ〜…
先生や全校の前で話すのこんなに緊張するものだとは思わなかったよ…
生徒会長すごいな…
こんな大勢の前で話しているんだから…
私はこれで限界だわ。
教室に戻ってきても尚心臓バクバクしてるもん…
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