難病が教えてくれたこと
「…如月さん…」
「委員長…」
「ん?」
私はみかんジュースを飲みながら顔を上にあげる。
「…あの、さっきの話…本当?」
まあ、こんだけふざけてる私を見てるから疑いたくもなるよね。
「ほんとほんと!でもまだ元気だから仲良くしてね!」
「分かってる!私達も全力でサポートするから!」
…恵まれてるなあ私も。
「毎日辛いのに笑顔を絶やさない如月さんは強いんだね。」
…強いわけじゃない。
笑顔でも貼り付けてないと何も無い顔になるから笑顔なだけだ。
「私たちにできることあれば言ってね!」
「はーい!じゃあ、みかんジュース買ってきて!」
「パシリするとは言ってないけど?」
「ケチ!」
私はまだ、生きていける。
…多分。
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
ワイワイ話している中心は李那だ。
今日は車椅子で来ている李那。
李那曰く今日は体が怠いんだそうだ。
車椅子は主に俺と海澪が交代で押してる。
「…」
「李那?」
「トイレ行きたい。」
…デリカシーの欠けらも無い…
「蒼空、荷物持ってて」
「はいはい…」
李那は海澪と共にトイレに向かっていった。
その間俺は携帯と遊ぶ。
「更科?」
「え?」
「おお!アリスだ!」
……
何?誰だろ、こいつら。
「アリスだ!」
…アリスじゃない。
俺は俺だ。
「なんだ?」
「いや、如月さん、大丈夫かなと思ってさ。」
「あー、今トイレいってるよ。」
「…」
…もしかしたら1番デリカシーないのは俺かもしれん…
【更科蒼空side END】

【中矢裕side】
「裕の彼女が病気だとは知らなかったよ。」
「…」
「たいへん?」
「全然。」
「即答かいな」
「でも介護とか大変じゃね?」
「愛があればなんとでもなるよ。」
「リア充羨ましー!」
クラスメイトが続々と質問してくる。
…はあ…
今更李那のこと知りたいとかなんでだよ。
俺の彼女です。
廊下に出て、トイレに向かうと女子トイレで騒ぎ。
…何かあったのか?
「…何かあった?」
1番外に出ている女子に聞くと首をふるふる横に振る。
…ゴキブリでも出たのか?
そんな感じで俺もトイレに向かうと中から叫び声が聞こえてくる。
くぐもってて何を言ってるかは分からないが悲鳴に聞こえる。
…俺が女子トイレに入るのはやばいかな。
でもどうしようもない。
【中矢裕side END】

【古川海澪side】
「李那?!しっかりして!李那!」
私の腕の中で苦しそうに呼吸する李那。
「ごめん!誰か保健の先生呼んできて!」
「わかった!」
私は李那を廊下に連れて横にする。
心臓抑えて苦しそうな表情…
「…ふぅ…はぁ…くぅっ…」
李那の苦しそうな顔がだんだん青ざめていく。
「…え?李那?!」
「裕くん!」
「…おいおい、李那!聞こえるか?!」
裕くんは李那に声をかけるけど李那の反応はない。
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