難病が教えてくれたこと
でもいざ目の前で李那がああいう状態になると調べざるをえなくなってくる。
さらに悪化すると呼吸器が手放せなくなる…
なんで…なのかな。
李那の前世、そんなに悪いことしてたのかな。
そうでもしないとなんであんなにいい子がこんな病気にならないといけないのか分からない。
「…蒼空?入るよ?」
「…あぁ」
俺の部屋に入ってきた母さん。
「…何調べてるの?」
「筋萎縮性側索硬化症について。」
…李那のこと。
少しでも知れると思うと嬉しくて仕方ない。
「…それって確か難病よね?
指定難病にもされてるっていう…」
…指定難病…確かにされてる…
「でもなんでいきなり病気のことを?」
「…知りたいんだ。」
…少しでもこの病気について知りたい。
……酵素などの遺伝子の異常などによって発症…
…難しい言葉が多すぎる…
「…要は遺伝子の異常によって発症したり消失したりするってこと。そんな頭の上ハテナばかりにしてて大丈夫?」
母さんがいて助かった…
訳分からん英文読んでるみたいだったから…
「…治るのかな?」
「一般的に、完治した例はないと聞いてるけど。」
…なんで絵描きの母さんがそんなこと知ってるのかが不思議だ。
「そんなこと調べて将来医者にでもなりたいの?」
…将来か…
何も考えてないや。
「…別に。これについて知りたいだけだから。」
俺はそのまま部屋から出てお風呂に向かった。

「…あんなこと言っといてこんなにメモとってるくせにね…」

母さんがそう言って爆笑してたことにも気づかずに。
【更科蒼空side END】

【古川海澪side】
「…李那…」
『やっぱり病気が進行してるって事なのかな?』
夜、私は秀一に電話をかけていた。
いつもなら李那とLINEでくだらない話をしている時間。
李那からの連絡が無いと寂しくて…
『…海澪は李那が好きなんだね』
「…うん、大事な友達だよ」
…私にとっての李那は明るくて面白くてたまにおバカ。
でも1番気が合うのが李那かもしれない。
『海澪にとって一番大事な存在なんだね。』
「…うん…」
『そういう人は大事にしないとね』
「…うん」
秀一は馬鹿そうに思えて実は馬鹿でもない。
たまにこうしていいことを言う。
「ありがと。」
『…うん、おやすみ』
「おやすみ秀一」
私は電話を切ると布団にダイブ。
…李那…
笑顔じゃない時の方が少ない。
頼ってほしいなあ…
【古川海澪side END】
< 93 / 200 >

この作品をシェア

pagetop