難病が教えてくれたこと
なんでご褒美…
「俺、頑張るからさ。」
…つまりは優勝できたらってことね。
「わかった、裕くんが優勝したら御褒美として私から…キスする…」
「まじで?!」
…な、なんという食いつき方…
「…う、ん…」
仕方ない。
言ってしまったことは仕方ない…!
まさかこんなに喜ぶとは思ってなかったんだもん。
畜生…
海澪が困った時はキスするって言うといいって言うから…
変に意識してしまうよ…
海澪のバカあ!!
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
「おーい、蒼空、起きろおー」
…ん?
あー、もう授業終わったのか…
今何時…
「今から3時間目。」
「おお、サンキュ。」
…ん?今、誰と喋ってんだ?
恐る恐るおきあがる。
「おはょ、蒼空。」
「ぇぇえええ?!?!」
「…人をお化けみたいに…」
「いや、え、は?なんでお前がいるんだ?!
李那?!」
俺の目の前にはいつもと変わらない李那が…
…久しぶりに李那を見た…
「久しぶりだね、蒼空。」
「お、う。久しぶり…」
「私で残念だったわね。」
李那…学校来れるようになったんだ…
「うわ!李那!久しぶり!」
…ん、誰だっけ、この人ら。
「おお!沙良と茉希じゃん!」
沙良?茉希?
あー、あいつらか。
平川沙良【ヒラカワサラ】と橘茉希【タチバナマキ】。
たしかこの2人は中学から仲いいんだっけ。
最近李那と喋るようになったふたり。
「おお、いたのかチビ。」
…そして俺を何故かちびという2人。
「…俺はチビくない…」
「ちびはちびだよ〜」
畜生、茉希ってやつ…
沙良は気が強そうな女だけど、茉希までこんなんだとは…
「何よ、沙良がいくら巨乳だからってガン見?」
「あ、いや、そういうわけでは…」
確かに、言われてみれば沙良って女、乳デカイ。
…肩とかこらねぇのかな。
女って大変そう。
【更科蒼空side END】

【如月李那side】
久しぶりに学校に来た私。
いつ苦しくなるか分からないから鼻呼吸機付けてる。
今は沙良と茉希と海澪とで談笑タイム。
この3人全く性格違うのに仲いいの不思議だなあ。
ここに夕彩さんが入るとかなり面白い。
「李那〜」
「何よ、沙良」
「なんもない、よんだだけ」
「なんだそれ。」
茉希と沙良は中学からの部活仲間。
私と裕くんは内部進学してるけど、海澪や茉希、沙良や蒼空は外部進学だから高校からのお友達。
楽しくてしょうがないけどね。
「李那って、家近くなの?」
「私?まあまあかな?
茉希は?」
「私は電車組だから…」
…あー、遠い方な…
「茉希、家遠いんだ…」
「そうなの〜…遠くて…」
…沙良は蒼空で遊んでるし…
「ねね、私とちび、似てない?」
…は?
何言ってんだこの巨乳。
「…は?」
「え?似てない?私とちび。」
うーん…なにがにてるんだろう…
あ、二人とも背が低いこと?
名前も少し似てるけど…
「あのさ、李那。」
「んあ?」
「全部声に出てるからね?」
「…あ…」
私よく言われる。
頭の中で考えてるはずなのに声に出てるって。
どんだけ隠し事苦手なんだよ私。
「俺、沙良と同じにはされたくない…」
「はあ?!」
「俺、そこまでちびくないもん…」
…気にしてるんだ。
自分がちびだってこと。
「李那…」
「だから…」
「「心の声聞こえてる。」」
…若干シンクロしてますが。
確かにこういう変なところは似てるかもしれないな。
蒼空と沙良。
「李那。」
「あ、裕くん。」
「体どう?」
「大丈夫。」
裕くんは私を心配してよく様子を見に来てくれる。
「辛くなったらいつでも言えよ、周りに。」
…そこは俺にとか言うのかと思ってたのに。
ちっ、つまんない。
「李那…」
「何を言いたいのかよくわかったよ…」
海澪と蒼空が私に呆れた顔をする。
「李那らしいよね。」
「間違いない。」
海澪と蒼空は最近仲良しだ。
しかも振って振られた相手同士なのに。
すごいよね〜
「李那、顔色悪い。」
…やっぱり裕くんには分かっちゃうのかあ〜
「えへ。」
「りーなー」
…ちっ
可愛くしてみても無理か。
「りーなーあー…」
裕くんにはなんでもお見通しだね…
「わかったよ…」
「普通にばれるからな。」
ちっ。
「李那?」
…今日くらい言うこと聞いて欲しかったなあ…
私の体…
今日くらい、自由に友達と話したかった。
…悔しい。
「…李那…」
「裕…うっ…?」
あれ…?
おかしい。
呼吸出来ない。
鼻呼吸機付けてるのに。
…違う。
私が吸えないんだ。
なんで今…
恨むよ、神様。
「李那?!」
「ひ…ろ…くん…ど……しよ…」
体が震えてるのがわかる。
ギリギリ意識を保ててる感じがする。
「李那!!」
…意識飛びそう。
…抑えろ、抑えろ…
頑張れ、私…
【如月李那side END】

【更科蒼空side】
体が震えて息ができてない李那。
俺は李那の体を支えて声を掛けている。
「…そ…ら…」
涙目の李那。
多分今日はずっと笑っていたかったんだろう。
こんなことになったのは仕方ない。
俺も、受け入れるしかないんだ。
「…やだ…死にたくない…」
歯を食いしばって泣いている李那。
裕さんは李那を抱えて教室から出ていく。
後ろに茉希や沙良、海澪と俺も続いていく。
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