どこかの星のお話
はじまり
朝だ。ミンミンと泣くセミ、ジワリと流れる汗。暑い。

下に降りると父と母と妹が会話をしながら仕事に行く準備をしていた。

ヴゥーと唸るエアコン、幸せだ。
母は目玉焼きを作り終えたところだった。

いつもの朝。

リモコンを手に取る。
「おはよう!」
「おはよ〜」
「あら、おはよう、目玉焼き出来たわよ。」
「おはよ、食べよ食べよー」

今までは俺だけ早く仕事に行っていたんだが、恥ずかしいことに社長を殴ってクビになったんだ。

でも俺は悪いことをしていないし家族とも食事ができるようになったからまあいいかって感じだ。

「──移住化計画が決まり10年、移住する人類の選別が終わったそうです──」

いつもいつも同じニュースだ、聞き飽きたよ。

「ねえ、私たち本当に移住するの?」
「するさ。3度目の人類の移住なんだからそこまで騒ぐことじゃないとは思うけどな。」
「でもさ、パパ、次行く星って小さいんでしょ?」
「そうだな。」
「そうね……」

「うぅ……わた…しは……」

ああ、まただ。やめてくれよ、もう。

「──選別により決まった人にはこの一週間以内に手紙が届くそうですよ──」

「うぅ、、じゃあこの結果!!!もう一度届くってこと!?そうなの!?パパ!!!!」
「おい、、そんなわけ、、、」
「ああ、これ録画だよ。」
「朝から録画見るの!?」
「別にいいだろ。」
「うぅ、、創也、、、、!」
「ママ、泣くな。」

母さんはボロ泣き。

なぜかというと
家族の中で俺だけ選ばれなかったからだ。

まあ、
この俺なら選ばれないのもわかる。
母が悲しむのもわかる。

俺だって、辛い。
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