重なった社会~Ivy with little spider~
VRスペース内は、プログラムさえ組めばデザインのカスタマイズが自由自在。

ベルサイユ宮殿でも、バッキンガム宮殿でも、宇宙空間でも、何でもござれだ。


晴香の場合は、実在する緑豊かな原生林の姿に似せている。
深く椅子に座っていた筈だったが、VRプログラムが完全に起動した時には、大樹にもたれかかる形となっていた。

目の前には、ツルリとした大理石の板が数枚漂っている。
「メール」と一言発すると、封筒っぽい絵が彫りこまれた板が晴香の手の届くところまで
ふよふよと近づく。

晴香が板をトントンと2回ほど突くと大理石の枠のウィンドウとなりメールソフトが起動した。
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