重なった社会～Ivy with little spider～

河内が仮想空間に入り浸った理由は、警察の目から逃れる目的とは別に、もう１つある。

仮想世界に奴ら…いわゆるアバターをどんなに傷つけても死ぬことがないし、おまけに足が付きにくい、ということだ。



例えば、仮想空間内での痛覚は、VRプログラムによって電気信号としてアバターに伝わる。
それがVRコンソールやIPCを通じて人間の神経系へ伝わり、そこで痛覚として認識されるようになる。

人間に危険を及ぼす一定以上の痛覚の電気信号…異常電気信号が感知された場合、仮想空間から強制的にシャットダウンできるプログラムの組み込みが、アバターに義務付けられている。