重なった社会~Ivy with little spider~
……俺をハメたのは誰だ?

河内は落下しつつ、妙に冷静になって思考を巡らせた。


河内に対してはタメ口ではあるが、裏切ることさえ出来ない小心者だったオキ。

事実、オキの父親は河内の父親の直属の部下だったので、昔から顔を合わせる機会が多かった。
その時から河内はオキを子分のように扱っていたのを覚えている。

河内は、オキにはそれなりに信頼を置いていたのだ。

なので、河内はオキが裏切ったとは考えなかった。
第一、裏切ったところでなんのメリットもないのだ。


…じゃあ、オキが雇った連中か?

あの日にオキに呼ばせた助っ人は、腕の立つ連中ばかりだった。
面識は全然ないが、「女郎蜘蛛」を含め全員に渡した金は相場の倍。

そう易々と裏切る可能性は、低い。


……別の事情が、ない限りは。
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