重なった社会~Ivy with little spider~
晴香の机にある同形のディスプレイに、小包のアイコンが出てくる。
中身は言わずもがな、浅木が一夜を賭して強化したファイアーウォールだ。

「容量を綺麗に抑えてますね。…あ、この間見つかったスパイウェアにも対応させたんですか?」

「今までのじゃ、ザル同然だもんね♪……どう?いいでしょ?」

「浅木さんの眼の下のクマ以外は、非常に評価できますよ。」

「ああん、手厳しいなぁ~もうっ♪」


同じファイルを山田もチェックし、「ほうっ…」と感嘆の息をつく。

「出来は見事ですが、体調管理の不備はマイナス評価ですよ。浅木調査員?」

「ご心配なく♪今回は2時間も寝ましたから~」

「……。」

陽気な上に、ナチュラルハイまで加わった男の反省なさっ振りに、山田はこめかみを押さえる。


「お、お茶入れてきますね~」

と、阿波野がそそくさと席を立った。
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