重なった社会~Ivy with little spider~
そんなオヤジの顔を真顔でガン見しつつ、晴香はケータイの決定ボタンを押した。
間もなく次の駅に到着し、オヤジは慌てて電車を降りた。
再び、鞄の中に突っ込んだ手を動かし、今度は終了ボタンを押した。
オヤジが下りた2駅先で、晴香も電車を降りた。
改札を抜け、朝食を取るために駅横のカフェに立ち寄った。
朝食セットのカフェラテに蜂蜜を入れ、隅っこの席を探して座った。
自分の容姿が分かっているのと気恥ずかしいので、ウィンドウの近くはどうしても避けてしまうのだ。
カフェラテをちびちび飲みつつ、晴香は鞄からケータイを取り出した。