乙女ゲームの攻略キャラに転生した
「いいですか?吊弦。
ここで働くということは男になりきるということ。身につくように、日頃から意識していなさい。」
「はい、秋声さん。色々とありがとうございます!」
「練習した挨拶、覚えてますね?」
「はい!」
「よろしい。
女であることは説明済みなので、緊張はしなくてもいいですよ。」
「はい!」
「うん!いい返事だ!
じゃあ、あけますよ、」
とはいえ、やっぱり緊張するなー…
恐る恐る前を向く。
「っ!……」
び、美形だ…
端っこから端っこ。手前から奥、隅から隅までとにかく美形だ。
くっ…なんて乙女ゲーム的展開…
は!!見とれてる場合じゃない!
と、とりあえず挨拶!
「吊弦と申します。お兄様方、今日からよろしくお願いします」
床に膝と手をつき、深々とお辞儀する。
だ、大丈夫だよね?噛んでないよね?
私の名前吊弦で合ってるよね!?
「これは随分と可愛らしい童が入ってきたね」
「…!」
うわぁ、美形だ。目の前には黒髪長髪イケメン。
なんというか…美しい…
「女で遊男なんて大変だろうけど、所作や芸は私たちがしっかり教育するから。よろしくね、吊弦。」
目の前の長髪イケメンはニコっと笑って私の頭を撫でた。
「……////」
あぁ、イケメン怖いわー…
「ははっ!愛いなー。よろしく、吊弦!」
「は、はい!」
だんだん周りにほかのお兄様方も集まってくる。
みんなキラキラしていてそろそろ焦げそうな勢いだ。
でもみんな暖かくて、安心できる。
涼風凛は暖かいところだな…
ここなら、きっとうまく行くかもしれない…!
よし、明日からお稽古頑張ろう!