乙女ゲームの攻略キャラに転生した


「いいですか?吊弦。

ここで働くということは男になりきるということ。身につくように、日頃から意識していなさい。」


「はい、秋声さん。色々とありがとうございます!」


「練習した挨拶、覚えてますね?」

「はい!」

「よろしい。
女であることは説明済みなので、緊張はしなくてもいいですよ。」


「はい!」


「うん!いい返事だ!

じゃあ、あけますよ、」



とはいえ、やっぱり緊張するなー…


恐る恐る前を向く。


「っ!……」



び、美形だ…

端っこから端っこ。手前から奥、隅から隅までとにかく美形だ。


くっ…なんて乙女ゲーム的展開…

は!!見とれてる場合じゃない!


と、とりあえず挨拶!


「吊弦と申します。お兄様方、今日からよろしくお願いします」



床に膝と手をつき、深々とお辞儀する。

だ、大丈夫だよね?噛んでないよね?

私の名前吊弦で合ってるよね!?



「これは随分と可愛らしい童が入ってきたね」


「…!」


うわぁ、美形だ。目の前には黒髪長髪イケメン。
なんというか…美しい…


「女で遊男なんて大変だろうけど、所作や芸は私たちがしっかり教育するから。よろしくね、吊弦。」


目の前の長髪イケメンはニコっと笑って私の頭を撫でた。


「……////」

あぁ、イケメン怖いわー…


「ははっ!愛いなー。よろしく、吊弦!」

「は、はい!」


だんだん周りにほかのお兄様方も集まってくる。

みんなキラキラしていてそろそろ焦げそうな勢いだ。


でもみんな暖かくて、安心できる。

涼風凛は暖かいところだな…


ここなら、きっとうまく行くかもしれない…!

よし、明日からお稽古頑張ろう!


< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop