乙女ゲームの攻略キャラに転生した
「秋声さん秋声さーん!!」
「おや、天音。それに紫水に野菊…昨日の子までいるじゃないか。みんなして、どうしたんだい?」
「あのね秋声さん!この子にも働いてもらおうよ!」
「……ん?」
まぁ、そうなるよなーw
私がここに来て初めての朝。
有言実行。朝5時に起こされこうして私たちは秋声さんの所へきている。
「えっと…働くって言うのは…つまり?」
「この子にも遊男やってもらうの!」
案の定秋声さんはポカンとしている。
まぁそりゃそうだ。
女が遊男なんて出来るわけない。
出来たとしても、脱がない訳には行かない仕事なんだから、すぐ女とバレるに決まって…
「いいね!それ!」
「………え?」
「君にも遊男になってもらう!」
「……は?」
「やったー!!」
「良かったですね~^^」
「あ、ほんとにいいんだw」
え?嘘いいの?
女なのに?
遊男?
いいの?
「まぁ、と言ってももちろん裏方役だけどね、」
「裏方?」
「君はほかのサポートをしたりお客さんの話し相手になったりっていうことをしてもらう
から、もちろん体を売る必要はないよ。そこら辺は安心して。」
あぁ、なるほど、そういうことね。
それだったらむしろ喜んで!
「よし!、そうと決まれば早速みんなに紹介しようか!」
「え、今からですか?」
「善は急げだ!」
いや、さすがに今日からは急ぎすぎでしょ…
「あ、秋声さん、その前にこいつの名前。」
「あぁ、そうだったね」
「…名前?」
「ここで働く時はみんな、新しい名前を貰うんだ。ぼくも天音と野菊も、みんな秋声さんがつけてくれた名前なんだ。」
「へー…」
「お前名前おもし出せてないままだったし、丁度いいじゃねーか」
名前か。
まぁ確かにそろそろほんとに面倒だったし、丁度いいかもしれない。
「うん、決まった!君の名前は今日から"吊弦(つづる)"ね、」
秋声さんは墨で吊弦と書かれた半紙を私に見せた。
「"つづる"…」
「ん、いーんじゃね?」
「素敵な名前だね」
「これからよろしくね、吊弦ー!」
「…うん!」
なんだかとても嬉しいのと同時に、その懐かしい響きで、何か、大事な何かを思い出しかけた気がした。