美男と美女がうまくいくとは限らない。
…非常に、やりにくい
というのも、さっきからあたしの周りを右から左からじーっと見つめてくる視線が痛い
「なになに、何作んの?」
「手際よく作れよ?咲妃乃」
湊はあたしのすること全てに興味津々。
春樹はあたしをバカにするためだけに手元を見つめている
「あのー…料理しにくいから、座ってて?」
これじゃあ緊張しちゃって得意でもない料理がさらに美味しさ半減してしまいそうだ
「咲妃乃が料理するとこ見たい」
湊はあたしの左隣を譲る気はないようだ
悪気もなく目元を緩ませて微笑む
「ま、せいぜい頑張って?期待してる」
相変わらず憎たらしい春樹
その言葉を残してリビングのソファに腰掛けてテレビを見始めた
少しだけ台所が広くなった
よし、これでなんとか作れる!
左隣から視線を感じながら料理すること30分ほどでついに完成した
「うんまそー!俺、大好物!」
「ほんと?それはよかった。じゃあ春樹の分も持って行ってくれる?」
「了解!」
なんとかうまく、できたはず!
簡単なものしか作れなかったけれど、なかなかの自信作。
「おお、親子丼か。うまそーじゃん」
湊が運んでくれた親子丼とお味噌汁を見るなり、めずらしくいい反応を見せる春樹
あとは味さえ美味しくできていれば…
「どうぞ、召し上がれ」
「「いただきます」」
春樹と湊はほぼ同時に口へと親子丼を運ぶ
まあ、親子丼だし?味見してないけど
失敗するようなものじゃないし、余裕でしょ!
と、堂々と2人の反応に目を配る
「!?!?」
「…え?」
2人同士に何か言葉にならない音が聞こえてきた
な、なに?今のは?