美男と美女がうまくいくとは限らない。



とは言っても、あたしの成績は常に2位
一度くらい譲ってくれてもいいじゃんか
………春樹



「あー、わり!またもらっちゃった、天下」



背後から名前の主の声がする
今日もまた、随分ご機嫌な様子で。



「イケメンはいいわねえ?貢いでくれるおば様たちが沢山いて天下に導いてくれるものねえ?」

「いやあ、ほんとおば様様だよな!てかお前だっておじ様様だろ?」

「あたしはあんたと違って色仕掛けしてませんから!」

「顔そのものが色仕掛けなのはお前も同じだろ?」



山本 春樹。
…認めたくはないけれど、社内一のイケメン
顔面偏差値70、性格偏差値30


春樹もあたしや湊と同期でいつもあたしの一歩先を行く憎たらしいヤツ


あたしは入社して以来、彼を越えたことは一度もない



「いつになったら咲妃乃ちゃんは俺を越えてくれるのかなー楽しみだなあ」

「うん、よし決めた。これからあんたの顔面をボッコボコに…」

「こわ!そんなことしたら女子社員を全員、敵に回しちゃうかもよー?」



余裕たっぷり。いつも春樹は自分のモテっぷりを否定もせず、包み隠さない


少しは謙遜しなさいよ、ほんと……



「咲妃乃も春樹もほんとすごいなあ。同期として誇りに思うよ」



そしてこの小さくて可愛い子
いつもあたしを褒めてくれて、癒してくれる未央
あたしの大好きな同期



「あたしなんて…なかなかうまくいかなくて」

「未央は未央らしく、ゆっくり頑張ればいいよ」



未央は少しネガティブなところがある
営業職はある程度の強引さは必要になってくる


どちらかというとおとなしい性格の未央は自分が向いていないんではないかと思っているらしい


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