夏空フィッシュテール
第1章
始まりの風はときめきを連れて
空を泳ぐみたいに雲は形を変えながら流れている。私はスマホのカメラを空に向けシャッターを切った。
今日は地元でモノづくりイベントが開催される。夏にしては涼しく、絶好のイベント日和と
いうべきか。
今回の屋外イベントにナツキさんという好きな編みバッグや編み小物の作家さんが初めて出店するのを知ったのは1か月前。日課になりつつあるナツキさんのブログの更新をチェックしている時だった。
仕事のシフトが出来上がる前に休み希望を提出していたおかげで今日はばっちりお休みで、
以前にネットで買った、くすんだ紫色が可愛いナツキさんのバッグを持ってやってきたというわけだ。
お会いするのは初めてだからすごく緊張してる。ブログでしか知らないけど、どんな人なんだろう。
「えっと・・・」
ブログに書かれていたブース番号と会場で配られた案内を頼りにナツキさんのお店を探す。土曜日、その上夏休み真っ只中ってこともあって人で溢れかえっている。もしかして出遅れたかもしれないと焦り始めていると目の前のブースの背の高い女の人と目が合った。
「あ!」
その人は私を指さして大きく声を上げた。
ビックリしながら店名を確認すると『N・A』と書かれている。それはナツキさんのお店だった。
「姉さん、いきなり指をさすなんて失礼でしょ。ちゃんと謝って」
隣にいたさらに背の高い茶髪の男性が指差ししていた腕を下すように促す。
「ごめんね。そのバッグ見覚えがあったからつい」
女の人はそう言って顔の前で手を合わせていた。
今日は地元でモノづくりイベントが開催される。夏にしては涼しく、絶好のイベント日和と
いうべきか。
今回の屋外イベントにナツキさんという好きな編みバッグや編み小物の作家さんが初めて出店するのを知ったのは1か月前。日課になりつつあるナツキさんのブログの更新をチェックしている時だった。
仕事のシフトが出来上がる前に休み希望を提出していたおかげで今日はばっちりお休みで、
以前にネットで買った、くすんだ紫色が可愛いナツキさんのバッグを持ってやってきたというわけだ。
お会いするのは初めてだからすごく緊張してる。ブログでしか知らないけど、どんな人なんだろう。
「えっと・・・」
ブログに書かれていたブース番号と会場で配られた案内を頼りにナツキさんのお店を探す。土曜日、その上夏休み真っ只中ってこともあって人で溢れかえっている。もしかして出遅れたかもしれないと焦り始めていると目の前のブースの背の高い女の人と目が合った。
「あ!」
その人は私を指さして大きく声を上げた。
ビックリしながら店名を確認すると『N・A』と書かれている。それはナツキさんのお店だった。
「姉さん、いきなり指をさすなんて失礼でしょ。ちゃんと謝って」
隣にいたさらに背の高い茶髪の男性が指差ししていた腕を下すように促す。
「ごめんね。そのバッグ見覚えがあったからつい」
女の人はそう言って顔の前で手を合わせていた。