夏空フィッシュテール
「ありがとう・・・」

それを受け取り、一口飲み込む。
甘い・・・でもあったかくて満たされる感じ。

私の様子に安堵したように、修くんも一口ココアに口をつけた。

「さっちゃん達に悪いことしたな・・・」

「たまにはいいんじゃない?いつも俺らは振り回されてるんだから」

「・・・そういうもの?」

修くんは頷きながら笑った。
この空気感、すごく落ち着く。

「修くんはいつも優しいね」

「白沢だからだよ」

その言葉にドキッとする。

「え・・・?」

修くんはじっと私を見た。それからふわっと笑って「冗談だよ」といつもみたいに言う。

いつもこう。掴めそうで掴めない。
掴ませないと言った方が正解なのかもしれないけど。

「ただいま」

さっちゃんと隼人くんが買い物から戻ってきた。

「ごめんね、二人にばかり任せちゃって」

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