奪い婚 ~キミの嘘に唇をよせて、絡まる赤い糸をほどきたい~
――あれから半月。
大学の構内で、俺はある光景を見て愕然とする。
ピエールと熱烈なキスをしていたシャルルが、構内のベンチで他の男の膝の上に座り、キスを交わしていたからだ。
俺には信じがたい。
見てはいけないものを見てしまった俺は、シャルルと男から視線を逸らす。シャルルはそんな俺の視線に気付き、バツが悪そうに苦笑いした。
抱き合っていた男から体を離し、俺に近付く。
「アダム、久しぶりね。もしかして、見られちゃったかな」
ていうか、みんなに見せてるんだろ。
抱き合っていた男は、トーマス グラハム。グラハム伯爵の子息。プレイボーイで有名だ。
「シャルル、お前……」
「私、基本的に一人でいるのは苦手なのよ。たとえ一ヶ月でも、遠距離なんて無理。私にアプローチする男は山ほどいるわ。みんなドウゴール公爵令嬢と付き合いと思ってる。それに彼は……ピエールより逞しいし。ピエールには自分で話すから、まだ黙ってて欲しいの。ロンサール公爵の機嫌をそこねたくないしね」
シャルルは開き直ったように、俺を見据えた。友人だと思っていたが、見下しているようにも見える。
「ピエールがプランティエ大学に留学して、まだ半月しか経ってないのに……」
「あら、私が悪いっていうの?どうせピエールだって、プランティエ大学で女子に囲まれて手当たり次第浮気してるに決まってるわ」
自分の恋人をそんな風に見ていたのか……。
ルービリア駅で、熱烈なラブシーンを見せつけておいて、たった半月でこれはないだろう。
呆れている俺を尻目に、シャルルはサッサと男の元へ戻る。
体を密着させ腕を絡ませ、二人は俺の目の前から立ち去った。
ピエールがこのことを知ったら、激怒するかな?それとも……。
――『どうせピエールだって、プランティエ大学で女子に囲まれて手当たり次第浮気してるに決まってるわ』
シャルルが言い放った言葉が、妙にリアリティーがあり鼓膜から離れない。
大学の構内で、俺はある光景を見て愕然とする。
ピエールと熱烈なキスをしていたシャルルが、構内のベンチで他の男の膝の上に座り、キスを交わしていたからだ。
俺には信じがたい。
見てはいけないものを見てしまった俺は、シャルルと男から視線を逸らす。シャルルはそんな俺の視線に気付き、バツが悪そうに苦笑いした。
抱き合っていた男から体を離し、俺に近付く。
「アダム、久しぶりね。もしかして、見られちゃったかな」
ていうか、みんなに見せてるんだろ。
抱き合っていた男は、トーマス グラハム。グラハム伯爵の子息。プレイボーイで有名だ。
「シャルル、お前……」
「私、基本的に一人でいるのは苦手なのよ。たとえ一ヶ月でも、遠距離なんて無理。私にアプローチする男は山ほどいるわ。みんなドウゴール公爵令嬢と付き合いと思ってる。それに彼は……ピエールより逞しいし。ピエールには自分で話すから、まだ黙ってて欲しいの。ロンサール公爵の機嫌をそこねたくないしね」
シャルルは開き直ったように、俺を見据えた。友人だと思っていたが、見下しているようにも見える。
「ピエールがプランティエ大学に留学して、まだ半月しか経ってないのに……」
「あら、私が悪いっていうの?どうせピエールだって、プランティエ大学で女子に囲まれて手当たり次第浮気してるに決まってるわ」
自分の恋人をそんな風に見ていたのか……。
ルービリア駅で、熱烈なラブシーンを見せつけておいて、たった半月でこれはないだろう。
呆れている俺を尻目に、シャルルはサッサと男の元へ戻る。
体を密着させ腕を絡ませ、二人は俺の目の前から立ち去った。
ピエールがこのことを知ったら、激怒するかな?それとも……。
――『どうせピエールだって、プランティエ大学で女子に囲まれて手当たり次第浮気してるに決まってるわ』
シャルルが言い放った言葉が、妙にリアリティーがあり鼓膜から離れない。