奪い婚 ~キミの嘘に唇をよせて、絡まる赤い糸をほどきたい~
【9】別離
ジュリアが処置室に入り、三十分が経過。
医師はマジェンタ王国出身で、母国語で説明を始めた。
「傷は縫合しておきました。輸血はしましたが、命に別状はありません。今夜一晩経過観察で入院し、明日容態が安定していたら退院していただきますが、精神状態は不安定なので、退院後ホテルで一人にする事はやめて下さいね」
「……はい、わかりました。ありがとうございました」
ジュリアは一晩入院する事になった。
俺とフローラは医師に深々と頭を下げる。
病室に入ると、ジュリアは眠っていた。真っ青だった唇はほんのりと赤みがさしていた。
ジュリアの手首には白い包帯が撒かれ、腕には輸血の針……。管には赤い血液が流れている。
俺が優柔不断な態度をとったために、彼女を死の危険に曝した。
フローラも……
ピエールも……
俺のせいで、苦しめている。
ジュリアの心が悲鳴を上げている。
『助けて欲しい』と、悲鳴を上げている。
「……アダム、ちょっといい?」
フローラと二人で病室の外に出た。廊下の窓から、夜空を見上げる。
「……アダム。私達……終わりにしよう」
「フローラ……」
「アダムもそう思ってるんでしょう。私達……周りの人をたくさん傷付けてる」
フローラの瞳に涙が浮かんだ。
医師はマジェンタ王国出身で、母国語で説明を始めた。
「傷は縫合しておきました。輸血はしましたが、命に別状はありません。今夜一晩経過観察で入院し、明日容態が安定していたら退院していただきますが、精神状態は不安定なので、退院後ホテルで一人にする事はやめて下さいね」
「……はい、わかりました。ありがとうございました」
ジュリアは一晩入院する事になった。
俺とフローラは医師に深々と頭を下げる。
病室に入ると、ジュリアは眠っていた。真っ青だった唇はほんのりと赤みがさしていた。
ジュリアの手首には白い包帯が撒かれ、腕には輸血の針……。管には赤い血液が流れている。
俺が優柔不断な態度をとったために、彼女を死の危険に曝した。
フローラも……
ピエールも……
俺のせいで、苦しめている。
ジュリアの心が悲鳴を上げている。
『助けて欲しい』と、悲鳴を上げている。
「……アダム、ちょっといい?」
フローラと二人で病室の外に出た。廊下の窓から、夜空を見上げる。
「……アダム。私達……終わりにしよう」
「フローラ……」
「アダムもそう思ってるんでしょう。私達……周りの人をたくさん傷付けてる」
フローラの瞳に涙が浮かんだ。