なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「先日もそうであったが、随分と美味そうに飲むな」


「そりゃそうです。こんな美味しいお酒飲んだことありませんもの。

お酒自体高価ですから、大好きだけど滅多に飲むことができなかったんですよ?」


「酒豪だな」


「陛下に言われたくありません」


 朱熹は口を尖らせながら言った。


 いつの間にこんな冗談を言い合えるようになったのだろう、と曙光は思い嬉しくなった。


 皇帝に対しても物怖じすることのない朱熹の豪胆さが垣間見える。


 初めて会った時にも、堂々とした振る舞いで曙光の前に出てきて、芯の強い眼差しを向けた。


 内側から放たれる生命力の強さのようなものを感じ、痺れるような衝撃が体を巡った。


 彼女は、今まで出会ってきたどの女性とも違う。


 直感的にそう思った。


 そしてその予感は見事に命中した。
< 106 / 303 >

この作品をシェア

pagetop