なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 話せば話すほど、彼女の純粋さに惹かれ、裏表のない笑顔に胸がときめく。


 もしかしたら、俺は……。


 曙光は、美味しそうに酒を飲み、取り寄せた銘酒の素晴らしさを楽しげに語り出す朱熹をじっと見つめた。


 もしかしたら、この気持ちは……。


 曙光は自分の中で芽生えた初めての感情に気が付いた。


 どの角度から見ても、どこを見ても、美しいと思う。


 以前に、美人と言われたことがないと朱熹本人がぼやいていたが、曙光は朱熹が輝いて見える。


 朱熹を可愛いと思わないなんて、目が悪いのではないかと疑うほどだ。


「陛下? どうしました? ぼーっとして」


 朱熹に声を掛けられてハッと我に返った。


 慌てて酒を一気に飲み干す。


「陛下にも気に入っていただけて良かった」


 朱熹は嬉しそうに、杯に酒を注いだ。
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